唄六小咄。

本当にへんな小咄…ってか小ネタですが。
よろしければ続きからどぞーｖｖ

【サナトリウム】




毎日毎日、殺風景な白い部屋に通う。
結構マメだったのね俺なんて他人事みたいに思いながらドアを開けて。
白い壁とカーテンとパイプベッド。代わり映えのない寝顔。
テーブルの上に真新しいオレンジのガーベラが飾られていた。
「正君来たの？」
「うん、さっき帰った」
酷いんだよシュークリームも持ってきたんだけど俺食べれないじゃない。
そんでね、ケンケンが食べてんの。
ベッドの横にある16インチのTVの中で竜太朗がけらけらと笑う。

意識はブラウン管の中に入ったまま、本体は一向に起きない。
ブラウン管だなんてアンタ時代は液晶ですよLEDですよ。
地デジ対応出来んの？って茶化したら「出来るかなー」なんて真面目に答えちゃって。
あなた２０１１年もその中に居る気ですか。正君の描いた絵じゃないんだから。
その上、最近は映りが悪い。
「叩けば直るかねぇ」
「ちょ！なかちゃんイタイイタイ！」
「え、痛えの？」
「いや、なんとなく痛い気がする」
「うははははイイカゲンだなお前は」

画面の中は小さく砂嵐、竜太朗がちょっと歪んでる。
「タロ…このまま」
映らなくなったら、戻ってくるんだろうか。
それとも。
「どっか行っちゃうのかなぁ」
なかちゃんはどっちだと思う？だなんて、俺は基本的にネガティブなんだから聞かないで欲しい。
困った顔が好きだと、画面の中で竜太朗が楽しげに笑う。
ベッドの上は真っ白な寝顔。腕に点滴。
床擦れ防止に敷いてあるクッションが妙に現実的で痛々しくてイヤだ。
「なかちゃん」
「ん？」
「触りたいね」
「うん」
ひどくなる砂嵐の中で、竜太朗が手を差し伸べた。
引寄せられる。
掌を合わせる。
冷たい。
硝子の感触。
静電気。
黒。






途切れた画面から手を離して寝顔に触れてみた。
柔らかな白。
温かな。
かさついた唇。
王子様なんてガラじゃねーけど。
コレで起きないかな。なんて、ちょっと思ったりして。
俺も色々末期です。

「触りたいっつーより……触られてえんだけど」








「……たくさんさわってあげるよ」
ホンモノが、弱弱しく笑った。
起きたよ。すげえ俺。
流石にびっくりしてきょとんとしてたら、頬をつままれた。
もっと優しく触りなさいよ何ヶ月ぶりだと思ってんのアンタ。
「なんかね、いっぱい夢見た」
聞いて、って。相変わらずユルイ感じでヘラヘラ笑う。

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………弁解の余地がない　ｏｒｚ
サナトリウムＰＶ見てたら浮んだんですけど力量不足でございますあっはっは。うわーん。